福岡法律事務所

漁業権とは?釣りの法律ガイド

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海面で釣りをする際の注意~漁業権など~

密漁にならないために

2025/04/16

暖かくなり、潮干狩り等の海でのレジャーに適した時期になってきました。

魚釣りや潮干狩りなどは、自由にできると思われがちですが、法律等で様々な規制が決められており、場合によっては罰金や懲役を科されることもありますので注意が必要です。

そこで、釣りを趣味にする弁護士が海釣りに関する法律等を解説します。

 

水産動植物の採捕に関係する法律等は、漁業権及び各都道府県が定める漁業調整規則、水産資源保護法になります。

そこで、各法律・規則についてみていきます。

目次

    漁業権とは

    漁業権とは、一定の水面において特定の漁業を一定の期間排他的に営む権利のことをいいます。漁業法の規定で、物権とみなされ、土地に関する規定を準用されています(法77条)。簡単に言えば、他人の土地を勝手に使えないのと同じ様に、他者が漁業権を有している場合には、そこでの水産動植物の採捕をすることはできません。

    そして、漁業権を侵害した時は100万円以下の罰金を科される可能性があります(漁業法195条)

    漁業権は、(1)定置漁業権、(2)区画漁業権及び(3)共同漁業権に分けられます(漁業法60条)

    (1)定置漁業権は、大型の定置網漁業を営む権利になり、

    (2)区画漁業権は、一定の区域内で養殖業を営む権利になり、

    (3)共同漁業権は、一定の水面を共同に利用して営む権利になります。

    一般の釣り人が釣りをする場合には、共同漁業権を侵害しないよう気を付けなければいけませんので、共同漁業権について少し詳しくみていきます。

     共同漁業権には、第1~5種共同漁業の5種類があります。
    ①第1種共同漁業

     藻類、貝類又は農林水産大臣の指定する定着性の水産動物を目的とする漁業

      藻類とは、わかめ・昆布・もずく等

      貝類とは、あさり・かき・あわび・はまぐり等

      第2種共同漁業とは、いせえび・しゃこ・たこ・ひとで・いそぎんちやく等

    ②第2種共同漁業

     定置漁業(大型の定置網漁業)以外の、網漁具を固定して営む漁業

    ③第3種共同漁業

     特定海面において営む地びき網漁業、地こぎ網漁業等

    ④第4種共同漁業

     特定海面において営む寄魚漁業又は鳥付こぎ釣漁業

    ⑤第5種共同漁業

     内水面において営む漁業であって、第1種共同漁業に該当しないもの

     ※ 一般に内水面とは河川、湖沼のことをいいますが、浜名湖や琵琶湖等、海面として扱われるところもあります。

    共同漁業権が、どの海面にまたどの魚種等に設定されているかについては、海上保安庁が提供している「海しる」で調べることができますので、釣りに行く場所にどのような内容の漁業権が設定されていないか確認してください。

    また、あわび、なまこ、しらすうなぎは特定水産動植物に指定されており、採捕は禁止されています(漁業法第132条)。これに違反すると、3年以下の懲役又は3,000万円以下の罰金が科される可能性がありますので、あわび、なまこ、しらすうなぎの採捕は絶対にやめましょう。

    漁業調整規則とは

    水産資源の保護培養、漁業秩序の維持を目的として、各都道府県が漁業調整規則等を定めています。規則は、漁業の許可、水産動植物採捕の制限、漁業取締り、罰則等について定めており、公共水面に広く適用されます。

    そのため、釣り(漁業)をする際には、漁業調整規則等を守る必要があります。

    使用できる漁具漁法、禁止区域、禁止期間、魚種ごとの大きさの制限、夜間の照明利用の禁止や制限など、様々な規制が定められています。

    ひき縄釣り(トローリング)は漁業調整規則で禁止されていることが多く、集魚灯撒き餌が禁止されているところもあります。水産庁がまとめてくれていますが、各都道府県の水産担当部局のウェブページ等で確認してください。

    水産資源保護法

    爆発物、有毒物を使用した水産動植物の採捕が禁止されており、違反した場合には、3年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処せられる可能性があります(水産資源保護法41条)。

    爆発物や有毒物を使用した釣りをすることはないと思いますが、決して爆発物や有毒物を使用しないようにしましょう。

    まとめ

     ① 漁業権を侵害しない

     ② 都道府県漁業調整規則等で許可された釣りを行う

     ③ 爆発物や有毒物を使用しない

    といった釣りであれば自由に行うことができます。

    水産動植物の採捕には、上記の規制があり、レジャー目的であっても違反すれば、厳しい刑罰が科せられたり、損害賠償を請求される可能性があります。

    そこで、①漁業権を侵害しない場所・種類であるか、②都道府県の漁業調整規則で制限されていないか、③水産資源保護法で禁止されていないか、を確認した上であれば、刑罰や損害賠償を請求されることはありません。

    ルールを守って楽しく釣りをしましょう。

    万が一、捜査を受けたり、損害賠償を請求されてしまった場合には、愛知県豊橋市にある福岡法律事務所までご相談ください。

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